ロレックスの人気機種であるサブマリーナ。ずいぶん高くなりましたよね。20年前の時計雑誌を見るとなんと半分くらいのお値段です。サブマリーナデイトは2010年のバーゼルワールドで、Ref.116610LNにモデルチェンジはしましたが、いったい何が変わったのでしょう。
現行品が旧型から変わったこと
左が旧型、右が現行品
旧型であるサブマリーナRef.16610は、1989年~2010年と約20年間にわたり非常に長い期間製造されてきました。
販売開始からもう30年以上経っていることになります。
もちろん最終型までに多くのマイナーチェンジが施されています。ケース内のルーレット刻印、風防のクラウンマーク透かし、 フラッシュフィットが分離型から一体型に、夜光塗料がトリチウムからルミノバへ。これだけのマイナーチェンジを受けたモデルは他にないでしょう。
これだけでも旧型のサブマリーナ Ref.16610の完成度の高さがうかがえます。
現行型品のRef.116610LN。ぱっと見は旧型サブとデザインは変わりません。それもそのはず、サブマリーナは60年以上基本的なデザインは変わっていません。
しかし、Ref.16610から現行型のRef.116610LNへは大きくブラッシュアップされています。かなりの進化です。それを解説していきましょう。そうすれば値段が高くなった理由も少しはわかるかもしれません。
ケースの変更点
これは旧型のRef.16610をフラッシュフィットから見た画です。ケースとブレスレットをつなぐ、ラグに注目してください。
旧型はラグが細いんです。このおかげで旧型のモデルはシャープに見えます。
これは現行品。ラグがかなり太くなっているのがわかると思います。このおかげで堅牢性はかなり増していると思います。上から見て、四角形に近づいていってる感じです。ケースを研磨していってもなかなか痩せて見えることはないでしょうね。
また、リューズを守るリューズガードの形状もずいぶん変わっています。
こちらは現行品のリューズガード。厚みもあり、堅牢性がより高い形状をしています。
そしてこれが旧型。ずいぶんとリューズガードが細いことがわかります。
ケースの変更点としてはこれくらいですが、旧型モデルの方がかなり見た目にシャープであることがわかります。
ブレスレットの変更点
現行品のオイスターブレスレット。より堅牢になっており、長い実用にも耐えられる構造になっています。
ほとんどのロレックスウォッチの現行品がこのオイスターブレスレットを使っていることからわかるように、信頼性の非常に高いものになっています。
旧型サブのダブルクラスプのブレスレット。古いロレックスのスポーツモデルにはほとんどこのブレスレットが付いています。リンクパーツが中空になっているため、現行品よりも堅牢性は落ちますが、軽さはこっちのほうが上です。
付けたときに若干シャラシャラいいます。
ベゼルの変更点
地味ですが、かなりの進化と言えるのがベゼルの材質変更です。永らくステンレス素材のベゼルを着けていたサブマリーナですが、現行型のベゼルは、素材をセラミックに、目盛りはプラチナコーティングを施したものになっています。
近年ロレックスのスポーツモデルに使用されているセラミック製のベゼルですが、2016年には最も人気の高いコレクションである、コスモグラフ デイトナのステンレススチールモデルにも採用されました。
ブラックだけでなくGMTマスターやプラチナ製のデイトナでは、赤、青、ブラウンカラーのものまであります。
腐食や退色もなく、傷も付きにくいということでかなりの好評を得ています。
しかし、旧型のベゼルにもいいところはあります。
それは味です。
ステンレススチールに塗装をしているため、ぶつければ傷も付きますし、剥げます。経年劣化で色の退色もあります。
これがいいというロレックスファンも多いです。
グレーっぽく退色するものや、青色っぽく退色するもの、パープルがかるものも存在します。
自分だけの色、味が出るのは旧型ベゼルの魅力的なところです。
夜光塗料の変更点
左が現行品、右が旧型
現行品の夜光塗料はロレックスが独自に開発したクロマライトが採用されています。青っぽく発光する夜光塗料で、発光時間も旧型のものよりも長くなっています。
旧型は多くのメーカーで使われている、ルミノバが夜光塗料として使われています。緑色っぽい発光色ですね。
ルミノバが採用されるまでは放射性物質であるトリチウムが使われていましたが、このルミノバが出てきてからは、多くのメーカーがこぞって採用しました。現在でも一番多く使われている夜光塗料です。
サブマリーナの変更点まとめ
旧型のサブマリーナは性能的には劣る部分がありますが、よりシャープな見た目で長年使うことにより味が出てきます。
現行のサブマリーナはケースやブレスレットがより堅牢な構造となり、さらにタフなダイバーズウォッチになっています。
高級感もましていますし、性能も上がってさすが現行品といえる出来ですが、なんせ高い。
ここでは書いていませんが、ムーブメントももちろんブラッシュアップしているんですが、この変更に対して値段が高すぎです。
使っている金属はもちろん変わっていません。
なぜこんなに値上がりしたのか?
まず、変更点、ブラッシュアップした点についてはお話ししましたが、現行品でもここ数年で並行輸入品は80万円台 → 120万円台に値上がりしています。
これは、ロレックスウォッチ自体の需要と供給のバランスが崩れているところも要因です。
現行品が値上がることで、旧型の需要も上がり、値上がりの連鎖反応を起こしています。
また、ロレックスは自社のヴィンテージウォッチを、名のあるオークションで落札しているとも言われています。別の話ですが、最近ではポールニューマンの愛用した個体であるデイトナが20億円で落札されています。
こういったヴィンテージモデルの高騰、人気上昇も現行品の値上がりに大きく起因しています。そういったこともあり、この20年のうちにサブマリーナは倍の価格になってしまいました。
この価格上昇はロレックスの企業努力、戦略のたまものと言っていいでしょう。我々消費者には困ったことですが。
まとめ
現在、ロレックスの腕時計で一番安く購入できるのが、ヴィンテージまでとはいかない旧型モデルです。ですが、サブマリーナをふくめて、これらの旧型の価格高騰は今後間違いないと思うので、購入するなら早めがいい良いと思います。
バーゼルワールド2020は延期になりましたが、サブマリーナはそろそろモデルチェンジ時期です。
モデルチェンジとなれば、現行品も旧型も値上がりになると思います。
ロレックスの中古サブマリーナでも100万円以下はない時代がもうすぐそこまで来ているのかもしれません。