高級ブランドに多い、機械式腕時計。駆動部分はすべて機械で構成されているため、永く使うなら、買うだけでなく、買った後のメンテナンスのことも考えておかないといけません。車と同じように定期的に分解と洗浄、組み立て、点検を行いますが、これをオーバーホールと言います。
この記事では、オーバーホールに出さなければいけない兆候(症状)とタイミング(期間)について話ていきたいと思います。
とにかくめんどくさい
オーバーホールはとにかくめんどくさいです。お金もかかりますし、何より1か月~2か月の間、腕時計が手元から離れるのは辛いことです。
何本かローテーションで、使用しているのならともかく、多くの人は一点高級主義で、一本のモデルを日常的に使用しているのではないでしょうか?
こういったことがあって、オーバーホールに出すことを後回しにしている方は、多くいらっしゃると思います。車の場合は、3年、2年と車検に出すタイミングが、法律で決められているので、しかたないですが、腕時計については法的に自由なので、止まったり、壊れてしまったりしてから、おこなうことも多いと思います。
止まってしまうということは、どこかが壊れているということです。ひどい時には複数の部品を交換しないといけなくなるので、余計な出費がかかってしまいます。
ベストは壊れる前のタイミングで、オーバーホールに出してしまうことです。
一般的な期間は?
一般的な期間は、3年~5年ほどだと言われています。
最近ではオーバーホールをする頻度は、10年に一回くらいというブランドもあるので、一概には言えませんが、もし古いアンティークのモデルになると、さらにこの期間は短くなると思います。
高級機械式腕時計をするメーカーは、同じ品番のモデルでも、少しづつ改良を加えていることが多いです。
例えば、機械式の大きな敵である、磁気の影響を受けないように、磁化されない部品を使っていたり、シリコン、セラミックなど摩耗の少ない部品に替えたりされています。
機械式の腕時計自体、歴史は100年以上もあるわけですから、現在に近いものの方が、性能やオーバーホールのしやすさは上だと言います。
また、メーカー以外の専門業者のサイトでは、少し短めに期間を述べているところもあります。
有名ブランドの見解は?
高級メーカーはある程度の目安を、HPに載せているところもあります。調べましたので見比べてください。
メーカー | 推奨頻度 | 備考 |
ROLEX | 10年 | Q&Aに記載 |
IWC | 8年 | 国際保証期間 |
PANERAI | 4~5年(保証8年) | FAQにて |
Cartier | 5年(保証8年) | 国際保証期間 |
Britling | 通常ムーブ(3~4年)、自社製(5~6年) | FAQにて |
オーバーホールを受ける頻度について、HPに書いてあるメーカーもあれば、ないところもあります。
腕時計は複雑な機械で構成されていますし、正直使う人によって状況も様々です。メーカーとしては、推奨期間にかなりマージンを取っておきたいところだと思います。
この場合の判断材料になるのが、国際保証期間です。
保証期間内の通常使用でおこった不具合に関しては、無償で修理をおこなうというやつですね。
最近は何らかの形で、保証期間を延長できるサービスを提供しているメーカーが多いです。
保証期間内の無償修理が多いと、メーカーにもかなりの負担のはず。保証期間が切れてからすぐに不具合が出始めるというのが、メーカー側からすればベストでしょう。これまでの自然不良発生の期間から設定しているはずです。
ようは保証期間内くらいは持つだろうという考え方ですね。
8年間という期間を設定しているところが多いので、新品購入からこれくらいの間はオーバーホールに出さなくてもいいかもしれません。ギリギリな考え方ですけどね。
私の周りでは、5年~8年でオーバーホールに出す人が多いように思います。
心配性なら早めに出しましょう。
期間に関わらず危険な症状
使用している期間の日が浅くても、すぐにでもオーバーホールに出さなくてはいけない兆候、症状というものがあります。この中にある症状がお持ちの腕時計にあるなら、すぐにでもオーバーホールに出しましょう。
・動かない
・時間の進みがかなり早い
・時間が遅れる
・巻き込み式リューズが入らない
・リューズが硬い、感触に違和感
・ガラス風防が曇る
・カレンダーの切り替えが遅くなった
できれば、『動かない』という一番最悪な症状になる前に、オーバーホールに出したいところ。
時計の針の進み具合は、基本的に時間が進む方に調整されています。時間が遅れる場合は、内部の潤滑油が古くなり、固くなっている可能性があり非常に危険です。また、新しい時計は、内部の部品の摩耗が激しく、粉が出やすいので、これも潤滑油を固くしてしまう要因になるようです。
リューズ関係の不具合は、時計の防水性能に関わってくるので、これも日常使いするものならオーバーホールを検討してみてください。ガラス風防がくもったり、文字盤に水滴がついていたりするなら、すでに水分が内部に侵入しています。
その他に、ベルトの不具合は早めに修理に出した方がいいですね。放っておくととんでもないことになります。
まとめ
機械式腕時計は、正しく扱えば、本当に永く愛用できます。
オーバーホールに出す時期は、長めにとって5~8年間ということにしておきましょう。
部品の破損が心配なら早めに出せばいいだけです。3針カレンダー付のモデルなんかは、機構がシンプルなので、あまり気にしなくてもいいきがします。
それよりも時計が遅れたり、危険な症状がないか、常日頃から時計を観察しておくことが、故障を防ぐ一番の方法だと思います。