高級時計ブランド、Breguet。時計の歴史を200年早めたというアブラアン-ルイ・ブレゲの名を冠する腕時計ブランドです。歴史の始まりはなんと1775年からという超老舗。240年以上前といえば日本では江戸時代。杉田玄白らが『解体新書』を出版し、アメリカ合衆国は独立すらしていない時代です。もはや歴史の教科書の話ですよね。
ブレゲの歴史について
この記事ではBreguetの歴史についてさらっと書いています。現行モデルの意外な歴史も?
創業者アブラアン-ルイ・ブレゲ
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アブラアン-ルイ・ブレゲはフランス出身。生まれ育ったヌーシャテルを10代で離れ、時計職人としての修業を積むためヴェルサイユ、そしてパリに赴きます。1775年、彼は大修道院長のジョゼフ-フランソワ・マリーの助力によりパリのシテ島に時計工房を設立します。そして彼は若きブレゲを庇護し、フランス王室に紹介します。フランスの貴族たちは瞬く間に顧客となります。フランス革命が勃発し、フランスに不穏な空気が漂う中、彼はフランスを去ることを余儀なくされますが、1795年に戻り、時計製造業を再開します。
ブレゲの1775年に設立した高級時計工房
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もちろんこの時代にはまだ「腕時計」はありません。ほとんどが置時計です。腕時計が大衆化するまでにはこの後100年以上の時を要します。
ブレゲが造った人類史上初めてのリストウォッチ
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ナポリ王妃、オーストリアから嫁いできたマリア・テレジアの娘、マリア・カロリーナ(マリー・アントワネットのすぐ上の姉、ナポレオンの妹)の依頼により、人類史上初の腕時計を開発。
1812年に完成しました。
当時の資料によると、形は楕円形でベルトには人の髪の毛と貴金属の糸を編んだものを使っていたと言います。
時計自体が超高級品の時代だったため、世界初の腕時計は宝飾時計となりました。
現在では「クイーン・オブ・ネイプルズ」コレクションとしてこの世界初の腕時計のオマージュを見ることができます。
ブレゲ本家の作品とデザイン
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この置時計は1800年代にBreguetによって造られたものです。文字盤に注目して頂きたいのですが、現行のブレゲの腕時計となんら変わらないデザインです。
200年前と同じデザインのものが現代でも購入できるってすごくないですか?
ブレゲの現行モデルの文字盤デザイン
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アブラアン-ルイ・ブレゲはトゥールビヨン、ミニッツリピーター、クロノグラフなど、時計界において革新的な技術開発を様々行ってきましたが、デザイン面においても功績を残しています。
例えば、ブレゲ針。先端が月を思わせる斬新なデザインで、穴の開いたこの針は、2世紀以上も前からBreguetの時計を特徴づけています。
また、多くの時計メーカーがこぞってこのブレゲ針を採用しました。
このブレゲ針は、ロレックスのスポーツモデルによく採用されるベンツ針と同じくらい有名なデザインです。
また、特徴的な書体であるブレゲ数字、ギョーショ彫りの文字盤も初代の考案したものです。
この時代の時計は装飾が過度に施されていたため、全体に重厚な印象を与え、文字盤の読み取りは容易ではありませんでした。
そんな中、時間を読み取りやすく、高級感を出すためにこれらのデザインは考案されました。
マリーアントワネットのブレゲ作超絶懐中時計
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ブレゲの最高傑作ともいわれる「マリー・アントワネット」と呼ばれる懐中時計。完成までに44年の時を要し、本人の死後、弟子たちの手により完成した作品です。
この懐中時計はマリー・アントワネットが注文したわけではありません。
1783年、ケ・ド・ロルロージュの工房に王妃の礼賛者という謎の人物が訪れ、 当時のあらゆる時計技術の粋を凝らした最高の時計を彼女への贈り 物として注文しました。注文は、できるかぎり部品にゴールドを 使用し、さまざまな種類の複雑機構を数多く搭載してほしいという内容でした。
そう、ブレゲの時計に熱心だった彼女への贈り物として謎の人物が注文したものだったのです。
この謎の人物は未だに分かっておらず、マリー・アントワネット本人もこの時計の完成前に1793年10月16日、夫のルイ16世の処刑から数ヶ月後にギロチン刑に処されました。
ブレゲの現在は?
ブレゲはその長い歴史の中で、何度も身売りをしており、現在は「SWATCH GROUP」に属しています。1999年に買収が完了してからは意欲的に新作を市場に投入するようになってきます。
それまでは時計産業は事実上ストップするなど、時計産業から離れた時期もありました。一般人の手に渡りだしたのはこのころからと言っても良いでしょう。
同じく長い歴史を持ちながら1990年代まで一般向けになっていなかったPANERAIと同じような形だと思います。
現行の各モデルとも、200年前からあるブレゲの時計の特徴を少しずつ落とし込んであるため、元はものすごく昔からありそうですが、意外にもそのほとんどが1990年代の後半、要は最近に造られたものです。
それでは現行モデルの人気機種を見ていきましょう。
ブレゲ マリーン 5517
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最新作のMarine 5517。人気モデルマリーンの3代目のモデルになります。長短針の先端とローマ数字インデックスには蓄光塗料が入り、夜間の視認性を確保。先代のマリーンとはかなり違うデザインになっています。
タイプトゥエンティ 3800
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フランス海軍航空部隊のために1950年代に設計された「タイプXX」。現在では自動巻ムーブメントを搭載する民間用の現代ウォッチとなっています。 「タイプXX」の他を寄せ付けないスポーツ感覚と強烈な個性は、独創性と高い技術を備える腕時計を求める愛好者たちをとりこにしました。 甦ったこのクロノグラフには、飛行中の連続した時間計測のために必要とされたフライバック機能もそのまま受け継がれています。
ロレックスやオメガなどの大衆高級腕時計に飽きた人達が、次のステップとして好むモデルです。芸能人で言えば、嵐の櫻井翔さんが愛用しています。が、その割にはロレックスと変わらない値段です。
クラシック 5157
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ブレゲの「クラシック」コレクションには、見やすさ、 高精度、無駄のない洗練されたデザインという初代が理想とした、時計の姿が見事に表現されています。
特にギョーショ模様の文字盤、2針のブレゲ針、ブレゲ数字など、200年前のデザインが見事に落とし込んであります。
最もBreguetらしい、クラシックな腕時計ではないでしょうか?
マリーン 5817
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おそらくブレゲの腕時計の中で最も人気の高いモデル、マリーン 5817。残念ながら新型の5517が登場し、惜しまれつつも廃盤となりました。
スポーティでエレガントな装いで仕事からパーティ会場まで一段上に格上げしてくれる腕時計です。
エレガントに彫られたラバーストラップモデルが人気。昨今の高級スポーツウォッチの流れをくむモデルになります。
ブレゲは歴史も格も世界最高峰
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いかがでしたでしょうか?Breguet(ブレゲ)の腕時計にはパテック・フィリップやロレックスのように50年以上続く継続性のあるモデルは残念ながらありませんが、現在のモデルを一目見れば、200年以上前に創業者アブラアン-ルイ・ブレゲが考案した機構、デザインが確かに息づいてることがわかります。
創業1775年。これは腕時計メーカーの中でも最も古い部類に入ります。今後、いかに新興メーカーが出てこようと、魅力的な腕時計を作ろうと、この歴史に勝つことはできません。
時計界で最も有名と言える歴史的人物、アブラアン-ルイ・ブレゲのブランド、Breguet。次の200年に向かって続いていって欲しいと願います。