日本の誇る高級腕時計と言えばGrand Seikoです。しかし種類が多くてどれがいいのか迷う人も多いと思います。ムーブメント、スタイルと様々なバリエーションがある、グランドセイコーの選び方を紹介したいと思います。
グランドセイコーはムーブメント(駆動方式)で選ぶ?
スイスは1790年と1792年にジュネーブ旧天文台で時計の精度を競うコンクールを開きました。。1859年には時計業界の要請によりニューシャテル天文台が設置され、1860年より懐中時計の検定を始めました。このコンクールは時計製造が工業的になされるようになっても続き、自社製品の優秀性を宣伝する場となっっていきました。
日本のセイコーは1964年にニューシャテル天文台での、クロノメーターコンクールに初出展しました。年々順位を上げていたセイコーは、1967年に第2位を獲得しました。この1967年のコンクールの途中、順位発表は行わず参加企業にだけ伝えるという運営規則の変更がされています。これは、上位をセイコーが独占し、スイス時計の精度が疑われるような事態を避けるためだと言われています。
その後、1967年以降、ニューシャテル天文台でのクロノメーターコンクールは一度も行われていません。
他の天文台でのコンクールもセイコーの機械式ムーブメントは上位を独占しました。
グランドセイコーよりも格上の時計ブランドはいくつもあります。しかし、精度の高いムーブメントを造らせたらセイコーは世界一といっても過言ではないメーカーなのです。
ムーブメントの種類は大きく分けて、「9F クォーツ」、「9S メカニカル」、「9R スプリングドライブ」の3種類。どの駆動方式でも世界最高峰ですが、特にスプリングドライブはセイコーの上級モデルにしかありません。
世界最高峰のムーブメントを創るグランドセイコーを選ぶのなら、ムーブメントを先に選ぶと、購入したいモデルを選ぶのがスムーズになると思います。
9F クォーツ
セイコーのムーブメントの話になると、クォーツ式のムーブメントについて話さなければなりません。クォーツ式とは電池でクォーツ(水晶振動子)を振動させ、その振動を利用して時計の針の回る速度を調整する駆動方式です。ひげゼンマイを使う機械式腕時計に比べて精度は格段に上になります。
時計好きなら、「クォーツショック」という言葉を聞いたことがあると思います。
これは1969年に、世界初のクォーツ式腕時計が登場し、コストも安く精度も高いクォーツ式腕時計が台頭したことで、スイスをはじめとする機械式腕時計人気が下火になった出来事です。
さらにオイルショックによる生産コストアップやスイスフランの異常な高騰などが追い打ちとなり、スイスの時計産業が低迷化しました。IWCは倒産の危機、老舗ブランドのブランパンも休眠状態に陥るほどでした。
※世界初のクォーツウォッチ セイコーアストロン
このクォーツショックを引き起こしたメーカーがセイコーです。セイコーの世界初のクォーツウォッチ、アストロンは時計産業に革命をもたらした画期的なモデルでした。それは現在の世にある腕時計の大半がクォーツ式ということからもあきらかです。
現在グランドセイコーの時計に搭載されているのは、世界最高峰のクォーツ式ムーブメント「9F クォーツ」です。
一生付き合える最高品質のクォーツ式ムーブメントになっています。瞬時に切り替わる瞬間日送りカレンダー、機械式時計のような太く堂々とした重い針を回すための動力源、秒針が目盛りを正しく示す指示精度の向上、保油性を高めるための高気密構造など、最高品質とうたうにたがわない世界最高峰の性能を誇ります。
9S メカニカル
セイコーの機械式ムーブメントは、スイスの機械式ムーブメントを凌ぐ性能を持つということが、ニューシャテル天文台でのクロノメーターコンクールを終わらせたことで証明されています。
現在のグランドセイコーの機械式ムーブメント「9S メカニカル」は、今でも世界最高峰の機械式ムーブメントです。
機械式ムーブメントの最高精度を目指してグランドセイコーブランドは始まりました。そのため、セイコーの機械式ムーブメントに対するこだわりは並大抵ではありません。
精度の高い正確な機械式腕時計に付与される規格で有名なのが、「クロノメーター規格」ですよね。ロレックスなどの腕時計もクロノメーター認証を受けて文字盤に「Chronometer」の文字が入っていると思います。
グランドセイコーも最初期はこの「Chronometer」の文字が入っていましたが現在では文字盤にはありません。
それはなぜかというと、クロノメーター規格よりもさらに厳しい独自の規格である「GS規格」を設けているからです。
グランドセイコーの機械式ムーブメント、「9S メカニカル」はすべてこの認定を受けています。
9R スプリングドライブ
スプリングドライブは、機械式時計に用いられるぜんまいを動力源としながら、クオーツ式時計の制御システムである水晶振動子からの正確な信号によって精度を調整する、セイコー独自の駆動機構です。
このスプリングドライブを作れるのは世界でセイコーのみ。クォーツ式と機械式のハイブリッドムーブメントであるスプリングドライブは、「高精度を実現した機械式時計」でもあり、また「電池もモーターも使用しないクオーツ式時計」でもある、といえます。
グランドセイコーのムーブメントの中でも最も人気なのが、やはりこの「9R スプリングドライブ」です。
せっかくグランドセイコーを購入するなら、グランドセイコーにしかないものを、ということで求める方は多いと思います。
ムーブメントの選び方
ムーブメントの選び方は簡単にまとめると以下の通りです。
9F クォーツ:価格が安い、精度が高い
9S メカニカル:世界で認められた精度
9R スプリングドライブ:セイコー独自の駆動方式
スタイルで選ぶ
グランドセイコーは地味だとか、真面目過ぎるとかいう評価もありますが、モデルによってはスポーツテイストの強いものもありますし、派手なものだってあります。
地味なモデルでも、質実剛健な造りで、質の良さを感じられるので、ビジネススタイルには最高の一本になると思います。
スタンダード
SBGX295
グランドセイコーのイメージはどんなものでしょうか?真面目、ビジネスにというメージが強いかと思いますが、このモデルは本当にビジネスに最高な一本だと思います。
白文字盤に黒のカーフ。非常にシンプルな文字盤で、これほど嫌味のない高級腕時計もなかなかないと思います。
このSBGX295はクォーツ式なので、価格も非常にリーズナブル。初めてのグランドセイコーにもおすすめのモデルです。
SBGJ203
ビジネスマン憧れのモデルと言えば、グランドセイコーのGMTです。赤いGMT針がアクセントになっていて攻めの姿勢を忘れないビジネスマンに使って欲しい一本。
このGMTは機械式自動巻きのモデル。やはり長年愛用するなら、機械式の腕時計ですよね。このSBGJ203なら引退まで心強い相棒になると思います。
SBGA211
セイコー独自のムーブメント、スプリングドライブを搭載したモデル。詳しい人からすれば、グランドセイコーといえばこのSBGA211を想像すると思います。
スプリングドライブのモデルにはパワーリザーブを備えていることが多く、もちろんこのモデルにも搭載されています。
ブルースチールの秒針に雪化粧のような美しい文字盤は、スタンダードなデザインコードながらも、満足できる仕上がりになっています。
クラシック
SBGX321
アンティークの腕時計を思わせる、文字盤からケースラグにかけてシャープなデザインのケース形状。小ぶりなサイズ感もTPOを選びません。
一本使いならスタンダードなモデルよりも使える場面は多いと思います。
SBGX321は、グランドセイコーの中でも最もシンプルなクォーツ式の時計です。
SBGR261
アイボリーの文字盤にブルースチールの秒針がヴィンテージテイストな一本。
日付表示が付いているのもビジネスマンには嬉しいところ。
このモデルは機械式のムーブメントを搭載しています。
ケースの形状、文字盤の色味から、革のベルトがよく似合います。
SBGE225
昔の計算尺を思わせる文字盤デザインを備えているSBGE225。これはかなり渋い。
パワーリザーブも3分の1は赤色になっているこだわりようです。
このモデルはGMT機能もあり、第二時間帯も瞬時に把握できます。海外との取引があるビジネスマンや、海外旅行のときも重宝する機能です。
GMT針はブルースチール仕様になっており、アクセントになっています。
スポーツテイスト
SBGV243
コーデュラ®ファブリックを使用したストラップには太さ1000デニールの糸を使用。タフな仕様になっており、スポーツ時に使うこともできます。
3針日付きのシンプルな文字盤ですが、切り立ったケースデザインなど、スポーツウォッチを思わせるデザインになっているところもポイント。
グランドセイコーの他にはないデザインですが、クォーツ式モデルのため、価格もリーズナブルです。
SBGJ233
個人的に一番好きなグランドセイコーのモデル。ケース、ベルトの中央のパーツはセラミック素材が使われています。
セラミックの素材ながら難しいとされていた、グランドセイコーブルーの色を再現しています。
サイズも46mmとかなりの大型。グランドセイコーにもこういったラインアップがあるんですよ。ちなみに機械式のモデルです。
SBGC207
グランドセイコーのクロノグラフ。クロノグラフと言えば、男性に人気の機構ですよね。
クロノグラフを使用するプッシュボタンは使いやすいように大きめにデザインされています。
スプリングドライブのムーブメントが搭載されているので、純粋なクロノグラフよりも誤操作によって故障が少ないところは特筆するべき点ですね。
限定品から選ぶ
SBGP015
グランドセイコー60周年記念限定品。グランドセイコーの中で、ベゼルに色が付いているモデルはかなり珍しいです。
文字盤にもベゼルにもグランドセイコーブルーが使われており、60周年記念限定品に相応しい仕様になっています。
秒針には赤色が挿し色として使われており、視認性はかなりよさそうです。
濃紺のようなグランドセイコーブルーに白で書かれたグランドセイコーのブランドネームが映えますね。
20気圧防水でクォーツ式と、かなりアクティブに使っても大丈夫な仕様になっています。
SBGA403
グランドセイコーのシンボルである獅子をイメージした一本。グランドセイコーの中でもかなりド派手なデザインだと思います。
Spring Drive 20周年記念限定品です。
このケース形状はこのSpring Drive 20周年記念限定品にしかありません。獅子の前足をイメージしているそうです。どこかで見た気がしますが。オメガに似たようなデザイン、昔ありましたよね?
兎にも角にも、力強いデザインです。
文字盤には若獅子の鬣(たてがみ)をイメージした有機的な型打ち模様が施されています。
スプリングドライブの独特な秒針の動きもあって、優雅なモデルになってますね。
グランドセイコーの選び方 まとめ
グランドセイコーは地味で真面目なモデルでも、高度な仕上げや世界最高峰のムーブメントで、購入後も非常に満足できる稀なブランドだと思います。
スポーツテイストなものや、派手なモデル、ビッグサイズのもあるので、意外性を求めてもいいと思います。
今回は紹介してませんが、ダイバーズウォッチもいろいろとあります。
造りは最高峰のグランドセイコーですので、時計好きの日本人なら一本は持っておきたいブランドですよね。